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東京新名所を歩く
〜平成の思い出は6700億円〜

2007年7月



5月の連休の話。東京ミッドタウン、六本木ヒルズ、表参道ヒルズといった「東京新名所」を家族で見て歩いた。今頃、六本木ヒルズ・・・ですか?と言われそうだが、その通り。なにせ普段は行く用事がないのでね。昔、練馬区の石神井公園(大きな池があって、ちょっとした景勝地ではある)のそばに4〜5年住んでいたことがあったけど、公園に行ったのは、僅か数回。近いと逆に行かないもんですよね。

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東京ミッドタウン。2007年3月、六本木の防衛庁跡地につくられた大型複合施設である。六本木は、学生時代、うなぎ屋で出前持ちのアルバイトをしていたことがあり、ちょっと懐かしい場所でもある。地下鉄乃木坂駅を下車して、外苑東通りを六本木交差点へ向かって歩く。やはりオープンして始めての 5月連休ということで、相当の人出である。昔は連休でも昼間の六本木、歩きにくくなる程に人はいなかったよな、と思う。そして人波とともに館内へ突入。想像より狭い。外装、内装でゴージャスさを演出してはいるのだが、物理的な狭さは如何ともし難い、というのが正直な印象。もっとも今は、見物客が多すぎるのであって、ほとぼりが冷めれば、ちょうどいいサイズなのかもしれないが。
テナントは、いわゆる高級店が多く、庶民の私なぞはほとんど関係ないっス、という感じ。食事をしようにも、どこも店先に長蛇の列。仕方なく韓国料理店のテイクアウトをデッキテラスで食べた。天気も良かったので、まあこれはこれでオーケー。プルコギ弁当はなかなか旨かった。

続いて、六本木ヒルズ。ライブドア事件や、回転ドア事故など、あまりいい印象がない場所ではある。ここでは、施設内の広場でFMラジオ局(J- WAVE)によるフリーライブがあり、それを見ようということである。目当てはUA(ウーア)さんという、独特なハスキーボイスが魅力的な女性シンガー。ステージはギター、ベース等に加えてホーン(管楽器)が入った編成で、全体的に民族音楽的な雰囲気を漂わせた演奏であった。テレビやCDで聴く以上に、生で聴く彼女の声は迫力がある。最後に唄った、映画の主題歌として書き下ろしたというバラードが良かった。誰もが気付いているのに、知らないふりばかり上手で、やがて瑠璃色(の星)が灰色になってゆく、という唄(記憶が怪しいが・・・)。こういったメッセージは歌詞にすると「クサく」、「優等生的」になりやすいのだが、彼女のメロディと声は全くそれを感じさせず胸を打つ。これをアーティストの力量というのだろう。4曲、20分と短い時間であったが、屋外の心地よい風の中で聴く音楽は楽しい。

最後に、表参道ヒルズ。原宿、表参道の同潤会青山アパート跡地にできた商業施設。彼の地は昔から休日は混み合うところであったが、ここも人、人、人・・・。フロアが螺旋状の回廊になって繋がっていたり、建物中央の階段が上に進むにつれ遠近法的に狭くなっているなど、造形的おもしろさはあるものの、やはり狭い・・・。ここも昨今流行りの高級店が多い。これはいったいどんな人が買うのだろう?と思いながらザッと眺めて、そそくさと外に出た。そのあとついでにユニクロが出店したTシャツ専門店をのぞく。円筒状の透明パッケージに入った様々な絵柄のTシャツが、店内壁一面に自動販売機のように整然と並んでいるというもの。試みは面白いが、すぐに飽きそう・・・。申し訳ないが私は一回で十分というのが偽らざるところ。しかし、トーキョーみやげ、と考えればこれはこれで「アリ」なのだろう。実際、外国人観光客と思しき若者が、嬉々として買い漁っていたし。

そんな具合に巡った東京新名所。印象に残ったことは、プルコギは冷めても結構旨い、UAさんは唄が上手い、ということかな。おいおい、そんなことかい・・・。最新の施設を見に行くという自体が、娯楽として成立したのは遠い昔のこと。記憶に残るのは、体感したことであって、施設や場所は、記憶を呼び出すためのタグなのだ。こういった大きな施設をランドマークと言うが、同時にそれは、個人の記憶のブックマーク(しおり)でもある。最近、東京タワーを題材にした小説や映画がヒットしたが、まさしく思い出のしおりの好例だ。
建築物は、それが造られた時代背景によって特別な意味を持つ事がある。東京タワーが高度成長期の高揚感の象徴であったように、これらの新名所が今世紀を語るシンボルとして、後々どう扱われ、そして個人の記憶のひだに残るのか興味深い。

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この3つ施設の総工費は約6700億円(東京ミッドタウン3700億円、六本木ヒルズ2700億円、表参道ヒルズ189億円)。ちなみに東京ディズニーシーの総工費は3000億円超。対して東京タワーのそれは現在の貨幣価値に換算すると280億円くらいだそうだ。思い出のしおり、6700億円也・・・。何ごとにも金がかかる平成の世である。

菊水電子工業株式会社 ウェブマスター
藤川 貴記 webmaster@kikusui.co.jp

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