HOME > コーヒーブレイク > ベストメンバーはどこにいる

ベストメンバーはどこにいる
〜癖組みという古人の知恵〜

2007年12月



夏以来、更新が滞っていました。
このまま年を越すのもいかがなものかと思い立ち、
書き散らかしたネタ帳を漁って・・・
今回は「くだけ口調」でお届けしてみたいと。

◆◆◆◆◆◆◆◆

「木のいのち木のこころ(新潮文庫 )」という本があります。

これは法隆寺や薬師寺など、
日本を代表する木造建築の復興、修復に携わってきた
著名な宮大工(みやだいく)の方々の話をまとめたものです。

宮大工とは、寺社仏閣を造営する専門の大工さんのこと。

「聞き書き」という手法で書かれています。
ぜんぶ口語体なんですね。
だから実際その人から話を聴いているような
臨場感があります。

文庫本なんですけど、まあ、とにかく厚い・・・。
500ぺージ以上あります。

世界最古の木造建築である法隆寺が
どのような技法、そしてその背景にある哲学(思想)によって
支えられてきたのか、を伺い知ることができます。

と、同時にそれは単なる建築技法の話ではなく
「人を育てる」ということにそのままあてはまるんですね。

法隆寺大工の口伝(くでん)という、くだりがあります。
口伝とは、代々継がれてきた教えや戒めのことです。
それはいくつかあって、どれも感心させらるような内容なんですけど
心に残ったのが次の一文。

堂塔の木組みは寸法で組まず木の癖で組め

木というのは、生育した環境で皆性質が違う。
それを無視して、ただみな同じものとして
ただ部品として寸法通りに製材・加工しただけで組みあげると
すぐに建物に歪みが出てしまうそうです。

だから、宮大工の重要な仕事は、木の癖を見抜いて
その癖を生かしたまま、いかに組み上げる(これを癖組みという)か
ということなのだそうです。
癖組みをきちんとした建物は非常に堅牢になる。

癖があるからと言って、その木を嫌って使わない、
はじくということはもってのほか。
癖は生かして使うのが勤めであり、それは人も同じだと。

たしかに、あれは駄目だ、これは合わないなんていっていたら
永久に建物は立たない。

思うようにことが運ばないとき、
つい理由を自分以外に求めるけど(本当にそういうこともあるだろうが)
でも一方で、その状況や、相手と
上手く向き合えない自分の狭量さを忘れてしまう。

ハっとさせられました。

考えが違うだの、スタンスが違うだのでモメて、
袂を分かつなんてのはよくある話だけど
それって結局、各人の懐が狭いだけなのかも。

そういった差(癖)をも受け止めて
それでも上手くやっていける、欲を言えば楽しんでやれる
そういう器量を持ちたいもんです。
オトナじゃ〜ん、ってね。

ベストメンバーなんて、永久に会えないんだ。
いまを共にする相手がベストメンバーになるように
周囲を変えようとするんじゃなくて、
まず「自分が変わる、成長する」。
それが一番の近道じゃないのかな・・・と。

ありきたりの結論ですが。
なんてことを、考えさせられました。

◆◆◆◆◆◆◆◆

とにかく本の最初の三分の一の部分、
最後の宮大工と呼ばれた西岡常一さんの言葉の重みは圧巻です。
いまの日本に欠けてるように感じる
大事なことを考えるヒントが満載です。

お正月休みに頑張って読んでみてはいかがでしょう。

菊水電子工業株式会社 ウェブマスター
藤川 貴記 webmaster@kikusui.co.jp

お願い

ここに記されている内容は、ウェブマスター藤川の個人的な意見や感想です。
帰属する企業、立場での見解ではありません。ご了承のほどお願い申し上げます。

ページトップへ ▲