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永遠は夢か地獄か
〜最終回があるドラマと終わらないサザエさん〜

2013年9月



一年ほど前から、朝の生活習慣が変った。
子供が就職したのだが、彼の出勤時間は早い。
そうなると当家の嫁も早く起きることになり
旦那もそれにつき合わされるようになった、という具合である。

早く起きたから、早く出社して業務に勤しもうなどとという
古き良き時代?のサラリーマンの心得は、あいにく持ち合わせていない。
かといって、出勤時間までグズグズしていようものなら
家事を仰せつかることは必至である。まあ、それでもいいのだけれど・・・。
で、このスキマ時間をどうするか。
そうだ!本が読めるじゃないか・・・。いたって普通でスミマセン。
というわけで、朝の通勤途中にあるファストフード店が
わたしの100円書斎となった。

◆◆◆◆◆◆◆◆

こういう時、読みかけの本がいくつあってもかさばることなく、
読み返したい本がいつでも取り出せるKindle(電子書籍)は誠に便利である。
しかも即納で本が買える。これは完全に罠だ・・・。
一方、KindleのリーダーであるiPad miniは
ポケットサイズのワンセグチューナで地デジも見られる。
実は8月の終わり、宮藤官九郎さんが
3.11をどう描くのかが気になって
見始めたあたりからはまってしまった
「あまちゃん」に読書時間が浸食されている。
半沢直樹に続いてこれも今週末で終ってしまうが・・・あぁ。

終わりがあるから高揚がある。
たとえば「サザエさん」の最終回は想像しにくい(都市伝説はあるようだが)。
登場人物は全て「永遠の人」で、ほのぼした日常が続く。
サザエさんに高揚感を求めるニーズはないだろうからこれはこれでいいのだろう。
逆にこのアニメを終わらせようとするのはかなり難しそうだ。
番組としては終っても、物語としては永遠に「つづく...」にしかならないだろう。
それがこの味で良さでもあり、しかし退屈なところでもある。

◆◆◆◆◆◆◆◆

「あまちゃん」に浸食される前に読んでいた小説は
「百年法(山田宗樹著/角川書店)」という。
舞台は、不老不死が実現された世界である。
太平洋戦争末期に、原爆が6発落とされた日本。
そして占領国の施策として「HAVI」という不老技術が導入された。
施術を希望すれば、人は永遠に若いままでいられる。
しかし同時に、世代交代を促すために、不老処置を受けた者は
100年後に死ななければならないという生存制限法「百年法」を設けた。
物語は、百年法の初回執行を迎えた西暦2048年から始まる。

不老になった社会では何が起きるのか。
果たして人々は素直にこのルールを受け入れるのだろうか・・・。
SF的なシミュレーションドラマで、この手の大家といえば
日本なら小松左京氏、海外ならマイケルクライトン氏といったところだが
山田宗樹氏の描写も、比肩する細密さや迫力があり非常に面白かった。
これに似た映画で「タイム(原題: In Time)」というのもある。
こちらは近未来の米国で、人々は25歳になると体内の時計が起動して
(腕に埋め込まれた時計に残り時間が表示される)余命が見えるようになる。
しかし、時間を「買う」ことでその余命は延長できるのだ。

◆◆◆◆◆◆◆◆

映画の世界では「時間」が通貨になっており、
(腕の時計は財布でもあり、時間を出し入れ出来る)
労働で時間を得て、時間を売って物品や用役を買うのである。
スラムに住む貧者は時間を失って行き倒れる。
富者はタイムゾーンというきらびやかな富裕層居住区で
何百年でも無限に生きることができる。まさしく「時は金なり」。
スラムに住む青年が、酒場で助けた富者から100年という時間を譲られ
やがて時間を支配する世界が作られた謎を探りはじめる、というものだ。

クレオパトラの時代から不老不死は人類の夢。
しかしそれが現実化したとき
人間の精神は圧倒的な時間量に耐えられるのか。
もっと時間があればと、つい思う。
しかしそれが「永遠」になったとき
果たして(生きる)意欲というものが心に生じるのだろうか。
仏教で説く八大地獄の最後に「無間(むげん・むけん)地獄」がある。
死後絶えることのない極限の苦しみを間断なく受ける地獄だという。
終わりがないとは魅力的なようで、同時に恐ろしいものなのだろう。

100年後の西暦2113年の日曜日の夕方。
変わらず放送されているサザエさん・・・。
ほら、なんか怖く思えてきませんか?


菊水電子工業株式会社 ウェブマスター
藤川 貴記 webmaster@kikusui.co.jp

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