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仲間はずれという役割
〜あなたも、もしや宇宙人ジョーンズ?〜

2014年5月




わたしは、コーヒーは好きなのだが、
缶コーヒーについてはほとんど飲むことがない。
しかし、この「宇宙人ジョーンズ」のシリーズCMは好きだ。
調べると2006年から始まったそうだから、
8年続いていることになる。

2014 サントリーBOSS「宇宙人ジョーンズ・マンション年始」篇
https://www.youtube.com/watch?v=EoJMmcqU3ws
2014 サントリーBOSS「宇宙人ジョーンズ・用具係」篇
https://www.youtube.com/watch?v=WrkWNweNicU

そして、あまり知られていないが
ラジオだけのオリジナルバージョンもあり、
平日の朝8時7分頃、TOKYO FM系列局で聴く事ができる。
実はこれ、「紙兎ロペ」とともに
平日朝のささやかな楽しみである。
(他に楽しみはね〜のかよ・・・)

コマーシャルと言いながら、商品訴求は最後の数秒で
実質は60秒の超短編ドラマである。
クスッと笑ってしまう一方で
ちょっと毒があって考えさせられる「(深い)一言」や
ホロリとするようなオチがあったりする。

余談ながら、主演のトミー・リー・ジョーンズさんの独白(心の声)を担当していた
声優の谷口 節さんは2012年12月に逝去された。
あの独特のしぶい声をもう聴くことができないのは至極残念である。
現在は菅生 隆之さんが担当されている。

変わった当初、「あ、やはり違う」と思ったが
だんだんとジョーンズになってきている。
過日、サザエさんのおとうさん「波平さん」の声が変わった
(永井一郎さんが亡くなられた)という話題があったが
声はキャラクターの重要な要素なのだな、とあらためて思う。

◆◆◆◆◆◆◆◆

このCMの企画は、福里真一さんというCMプランナー。
福里さんが手掛けた仕事を見ると、
・吉本興業所属の芸人さんが総出演した、ジョージア「明日があるさ」
・樹木希林さん出演の、富士フィルム「富士カラーのお店」
・トヨタ自動車「こども店長」や「ReBORN 信長と秀吉」
・ENEOS「エネゴリくん」
・ダイハツ工業「日本のどこかで」
・フロムエー「パン田一郎」
・アフラック「ブラックスワン」などがある。

いや、参った、全部好きなCMである。
どれもどこかしら素直じゃなかったり、軽い毒があったりするのだが
そこが、わたしの「ツボ」なのだ。

この福里さんとは、いったいどんな人なのだろう。
と、これまたググりの、Amazonでお買い上げしたの、が下記だ。

「電信柱の陰から見てるタイプの企画術」 (福里真一著、宣伝会議刊)

企画術と言いながら、実はHOW TOではなく
福里さんの「考え方の根っこ」を赤裸々に綴ったエッセイである。
したがって、これを読んで実践!と思ったら大間違いで
こういう考え方の人間だから、こういう企画を思いつくのか、が分かるだけであって、
ほとんど応用はできないだろうな、と。

とは言うものの、正直に感じたことは「これは、わたしじゃん」。
もちろん才能ではなくて(残念ながら)、立ち位置の取り方が、だ。
福里さんが「電信柱の陰から見てるタイプ」なら
わたしは「斜めに座って、見ないふりして横目で見てるタイプ」だ、
たぶん。

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一般的に、「当事者意識」を持てと言う。それは正しい。
「当事者意識」がなければ、責任感も薄くなりがちだし
厳しい局面では、致命的な結果を招くこともある。
しかし、全員が「当事者意識」バリバリに熱くなってしまうことでの「危うさ」もあるわけで
集団で共有された(ように見える)「正しさ」に、異を唱えることが困難な状況が
どういった結果になったかは、歴史を見れば明らかだ。

くどいようだが、「当事者意識」は原則として正しい。
みんなが傍観者では事が全く前に進まない。これは困る。
しかし、全体を生かすために、
斜に構えた人間も「少しだけ」必要ではないかという話だ。

傍目八目(おかめはちもく)。
「傍目」は、他人の行為を脇から見ることである。
他人の囲碁をそばで見ていると、対局者より冷静で、
八目先まで手が読める意から、第三者のほうが、
物事の是非得失を当事者以上に判断できるということ。(デジタル大辞泉より)

こう書くとなんか「随分カッコいいんじゃない?」と思われそうだが
実体は、どこにいても居場所が無い「変な人」である。
普通の人にとって、「仲間はずれ」になる状況はかなりツライことと思うが
もともと「仲間」と思う集団がない(帰属意識が薄い)ので、
多少淋しさを感じることはあっても
「そもそもそんなもんでしょ」で片付けてしまえる。
端から見れば「協調性がない」「冷たい人」だろうな。
しかし、残念ながら、生来こういうポジションしか取れないのだ。

そういった観点から、
福里さんのメソッド(電信柱の陰から見てる)は万人向きでないことが分かる。
あなたはあえて「仲間はずれ」というポジションに
立てますか(耐えられますか)?ということだから。

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話を「宇宙人ジョーンズ」に戻そう。
福里さんが、この企画を思いついた件が書いてある。

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ニュース番組って、あんなに必要なんでしょうかね?・・・

大半が、人間のろくでもなさを報じるネタですよね。
殺人事件やら放火事件やらからはじまって、
戦争やテロが終らない地域のこと、地球環境がめちゃくちゃになっていること、
政治家の汚職や問題発言、芸能人の離婚や不倫、などなど・・・。

あれだけ人間のわるいところばっかりを集めてきて報道していたら、
そりゃ、多くの人が、なんか元気をなくしていきますし、
「もう人類なんて、滅びてしまったほうがいいんじゃないか」
というような気分になる人がでてきてもおかしくないですよね。
むしろ一番見ちゃいけないのがニュース番組じゃないでしょうか?・・・

サントリーさんから、「人々を元気づけるようなCMを」と言われて、
ニュース番組の逆、みたいなCMにしたらどうか、と思ったんですよね。・・・

人間のバカバカしいけど愛せる部分とか、
そうは言っても捨てたもんじゃない、という部分を
報じるようなCMをつくってみたらどうか、と。

※「・・・」は中略
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そして、人間について報じるのは人間以外がいいと考えた。
思いついたのは動物か宇宙人。
動物だと缶コーヒー飲む時に毛が邪魔かな(?)と思い
では、「宇宙人による地球調査」になったという。

そして、いざ企画構成をはじめるとスイスイと考えが進むので
突然天才になったのか、と思ったが、よくよく考えると自分自身に
この宇宙人とそっくりな部分があることに気がついた。
地球人の輪に入れないまま、やや離れたところから、
皮肉めいて、でも決して悪意ではない目線で見ている。

宇宙人ジョーンズは、福里さん自身だったわけだ。
ということは、それは私の目線にも近いわけで
福里さんの作品が、わたしの「ツボ」なのは
そういうことなのかな、と。

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ちなみに、今でこそ人気のCMだが
2006年のオンエアー開始初年の3本は、見事なまでの無反響だったそうだ。
それがじわじわと「演歌」のように浸透して
4年目にはACC賞グランプリという広告界の名誉を受賞した。

受賞時の作品の中に「地上の星」篇がある。
そう、某国営放送の「アレ」だ。もちろんBGMも。

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この星の住人は、
川を見れば橋をかけ、山を見ればトンネルを掘る。
自ら壁を見つけては、それを乗り越えようとする。
一体、どこへ向かっているのだろうか。
ただ、この惑星の達成感は、くせになる。
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毎回このぺージの作成は、本当に苦しい。
いい加減なことも書けないし、
かといって立派な事が言えるような人間でもない。
無くても誰も困らないだろうし、
もういいだろう、もう止めよう思いながら、すでに15年。

今回もなんとか格好はついただろうか。

しかし、こんな駄文であっても、書き上げられれば、
ささやかな「この惑星の達成感」が降りてくる。
まったく困ったものだ・・・。


菊水電子工業株式会社 ウェブマスター
藤川 貴記 webmaster@kikusui.co.jp

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