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縮む社会の果て
〜人口減少危機を解消する意外なもの〜

2015年1月





暮れに、大前研一氏のセミナーがYoutubeにアップされていたので
大掃除の合間にそれを見た。

向研会 2014年経済総括
http://youtu.be/h7X_vbexeaY
【向研会】人口減少の衝撃 ~少子高齢化の現状と将来課題~
http://youtu.be/COwMaNJO874

全て見ると3時間ほどになるので、閲覧には少々気合いが必要だが、
知って損はない内容と思うので、ぜひ自宅などでゆっくり見て欲しい。

日本の最大の課題は人口減少で、それが
長期的な税収減→国債の償還財源が不足→
国債暴落→円の信用失墜→ハイパーインフレ(経済崩壊)
というストーリーになる可能性がある、と。
さらに危機的なのはそれに対する有効な手立てがほとんどなされていないこと。

この問題のやっかいなところは、進行が緩慢で、痛みを感じにくいこと。
20年後、30年後になって「大変だ」と思ったときには既に手遅れという状態がもう見えている。
氏が提言する(すぐにでも施行できるような)危機回避の国策案があるが、
国がそれを受け入れる可能性はきわめて低いだろう。
なので、企業も個人も、国頼みでなく、
自衛の知恵と努力がより必要になるでしょう、という話であった。

結局、活路は日本以外に求めるしかない、ということになっていくのだが、
企業はいいとしても、個人ベースでできることは、外貨預金とか
どこでも通用するビジネススキルを自己投資で身につけるといったことくらい。
おそらく大前氏的には個人ではどうしようもない、と言いたいが
それでは身も蓋もないので、気休めに付け足したのかな?
という感は否めない。

◆◆◆◆◆◆◆◆

自分が子供の頃、見聞きしたのは、それとは真逆の「人口爆発」だった。
人口の急増に石油、食料などの供給が追いつかない、
環境汚染が進むなど、そして資源戦争としての第3次世界大戦・・・
そういう危機が迫っている話だった。

その後、知っての通り、石油はどういうわけか毎年埋蔵量が増えるし、
食料危機はどうやら既得権者の操作だったかという疑念も拭いきれない。
石油も食料も、おそらく当時は「本当の危機」だった。
しかし、その後の様々な発見や技術革新がそれを解決するほど進歩した
というのが正しいのだろう。
ならば、この人口減少も同じように、一時の危機(解釈)なのだろうか。

人口減少か,とぼんやり考えていると
「返還」という寓話的な短編SF小説を思い出した。
作者はもちろん!そう、大好きな小松左京氏。
初出年は1966年。古いなぁ。

遠い未来のある日。
時の日本の首相が、たまたま読んだ本から
北海道はアイヌ人から収奪した過去を知り
「道義的衝動」からアイヌ人に返還することを決断した。
それは全世界に感動として波及し、各国で返還運動が連鎖。
当然、漸次全ての民族が人類発祥の地に集うことになるので
極端な人口減少策をおこないつつ、やがて最後の時を迎える。
長年謎の生物とされてきた「ヒマラヤの雪男」が実は
ネアンデルタール人の末裔であることが判明し、彼らに「最後の返還」を実行。
人類は「道義的喜び」を感じながら滅び去った。

なんともニヒリスティックな話だが、
当時は、大きな戦争は終ったが、冷戦、ベトナム戦争の真っ只中であり、
結局人類は何も学んでいないじゃないか、という絶望感が
創作の背景にあったのかもしれない。

◆◆◆◆◆◆◆◆

去年の5月に、「消滅可能性都市」というレポートがあった。
20~39歳の女性の数が、2010年から40年にかけて
5割以下に減る自治体を「消滅可能性都市」と呼び、
具体的な自治体名を上げて公表した。
自治体の機能維持には人口が10,000人以上必要だという。
このままなりゆきでいけば2040年には、全国の市区町村の半分(896)がそれを下回り
ゴーストタウン同然になるという衝撃的な内容である。
先の石油や食料危機と同じ危機感を煽るプロパガンダの臭いがしないわけでもないが
事実の一側面ではあろう。

ここで着目すべきは「このままなりゆきでいけば」という点である。
だから「東京一極集中を止めろ」という主張になってゆくのだが
これは結局、人が自由に移居するのが悪いので、それを止めさせればいいという発想で
同じ事を逆に言ってるに過ぎない。

人口を地方に(強制?)移動すれば今度は首都のスラム化という問題を引き起こすはずで
結局首都と地方の人口の綱引きという構図はそのままであって、
実は全体的な解決にはならない。
「返還」のように、人々が善意?に目覚め
「地方から出てきた自分達が悪かったので、帰ります」と帰り始めたら、
一説には首都圏の8割は地方出身者というから
首都圏がゴーストタウンになってしまうだろう。今度は首都機能停止だ。

移民受け入れも同じ発想で、減るならば国外から足せばいいという。
しょせん人口は国体維持のリソースの一部なのか。
そこに「人の暮らしや人生」はないのだな、と思ってしまう。

さあ、困ったぞ。どうしたものか。

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一方「2045年問題」というのがある。
それは、2045年には人工知能が、人間の知能を超えるという予測。
CPUの性能が18ヶ月(1.5年)毎に2倍になると予測した「ムーアの法則」によると、
CPUの複雑さが人間の脳を超えるのは2045年頃になるという。

ある時点で地球全人類の知能を超える究極のコンピューター
「A・I(Artificial Intelligence)」が誕生し
そして「A・I」が「A・I」を自己進化させ、
人間の頭脳レベルでは予測不可能な未来が訪れるというもの。
その時点を「シンギュラリティ(技術的特異点)」という。
おぉ、ターミネーターの「スカイネット」の誕生ではないか。

映画に登場する人工知能は、人類の脅威として描かれることが多い。
2014年公開の「トランセンデンス」もこの例に漏れない。
テロリストに襲われ、瀕死となったコンピューター科学者の意識を
同じ科学者である妻が最新の量子コンピュータに移植する。
しかし肉体を離れ意識だけとなった「彼」が変質してゆくというストーリーである。

「トランセンデンス」では人工知能とナノテクノロジーが組合わさる事で
物質や生命の再生(再創造)が可能になるとしていた。
劇中、主人公の科学者が「君は神をつくる気か?」
という質問を浴びるシーンがあったが、まさにそういうことだ。

ところでこの映画、前半の運びは結構良かったのだが、
後半〜結末がいまひとつだったのが残念。
現実感を増す科学考証の緻密さがSFマニアには物足りなかったかな・・・。

◆◆◆◆◆◆◆◆

2040年頃、人口減に苦しむ日本。
そして時を同じくして、人と同等、もしくはそれを超える「人工知能」が現実化する。
これは偶然なのか。進歩の必然なのか。

自治体のサービスの大半を人が行っているならば
これを「人同等に判断できる機械」があるならば
置き換えても成立するだろう。
インフラや街区の整備、例えばゴミ収集などは、高度な清掃ロボットで
今以上の分別を確実にしながら24時間稼働できるかもしれない。
上下水道も人工知能を持ったマイクロマシンが内部を常時周回することで
漏水補修や部品交換を自動でおこなえるかもしれない。
いやもしかしたら、これもナノテクの物質生成・分解技術で
その場で水を作ったり、排泄物を分解できるようになって
上下水道が不要になるかもしれない。
いやいや、自治体の調整機能の実質が置き換わってしまい
公務員は単なる名誉職になってしまうのかも・・・?

以前から自治体機能はICTでもっとスリムになれると言われてきたが
情報面だけでなく、このAIによる革新で用役面も劇的に変わる可能性がある。
人が少なくても今までと同等もしくはそれ以上のサービスを行えるかもしれない。
となれば、警察、消防、福祉・医療や教育、防衛も、民間企業だって???

ところで、ここで新たな疑問が涌く。
で、その世界で人はいったい何をするのだろう・・・?

◆◆◆◆◆◆◆◆

人口減少という危機は政治ではなく、
実は驚異(脅威?)的な技術革新が解決するのではないか。
社会システムの維持に必要な人員が激減するのだから。

いや解決というか、人口問題そのものが消失するのかもしれない。
英理論物理学者のスティーブン・ホーキング博士はコメントしている。
「完全な人工知能の開発は人類の終わりをもたらす可能性がある」と。

あと30年後の話であるから、運良く?長生きすれば
自分もその結果を目の当たりにすることになるのだろう。
あとはそれが人類にとって「審判の日」にならないことを願うだけだ。

♪ダダン・ダン・ダダン。ダダン・ダン・ダダン。・・・
(ターミネーターのテーマ曲をご想像ください)

菊水電子工業株式会社 ウェブマスター
藤川 貴記 webmaster@kikusui.co.jp

お願い

ここに記されている内容は、ウェブマスター藤川の個人的な意見や感想です。
帰属する企業、立場での見解ではありません。ご了承のほどお願い申し上げます。

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