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「片付け」はなぜ気持ちいいのか
〜人類1万年の課題を越える大発見?〜

2015年6月





あっという間に、今年も半年が過ぎてしまった。
あっという間だから、特に何も無かったのかというと
思い返せば、自分としては珍しくイベントが続いた年である。

1月と2月は自分のバンドのライブ出演が続いたため
その準備・練習でバタバタ。
3月は、実に10年ぶりくらいの家族旅行で大阪のUSJへ。
今が旬でしょ!とハリーポッターを満喫。
4月はひたすら翌月の展示会の仕込み、準備作業。
5月はその運営で三日間幕張に連泊、これはキツかった。
というようなことを書くと、傍目には「充実してますね!」と。
いわゆる「リア充(リアルの生活が充実)」ということになるのだろうか・・・。

派手なトピックだけを抜き出せば、
日々がやる事や楽しみでいっぱいのように見えるが
実際は「なんでもない」日々の方が圧倒的だ。
仕事が終われば、帰って食事して、
少しぼーっとして、コンビニに行ってみたり、
あ、もうこんな時間かと、いそいそと風呂に入って寝る。
そんな感じの繰り返しだ。

年齢的に、どこそこが調子が悪い
ここが変に痛いだの、身体的な不調も多い。
自分の先々の事や家族や親についての心配事もある。
ただ、人に言う事でもないし
考えてもしょうがないことは
考えないようにしているだけである。

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Facebookやtwitter等の「SNS」で
友人が投稿する「リア充」ネタを羨んだり、妬んだり
「それにひきかえ自分は・・・」と
鬱々としてしまう若者(中年も?)がいるという。

昔の話になるが、1980年代後半頃にビジネスパーソンの間で
「システム手帳」というものが流行った(今もあるようだけど)。
革製の高級感あるバインダーに、
リフィルと呼ぶ様々種類のノートを綴じて使う。
ファイロファックスというブランドが有名だった。
特に「予定表」は重要で、その書込み密度を皆が競っていた。
いかに「手帳が予定で真っ黒」であるかが優劣を決める。
予定がいっぱい=デキるやつ、という「神話」が蔓延していたわけだ。

昔はこういう形で「リア充」合戦を繰り広げていた。
オンもオフも本当に予定がいっぱいの猛者もいるのだが、
中にはよく見ると「ゴミを出す」とか「夕食の買い物」など
あきらかにどうでもよい事を何でも書いて
「リア充」を偽装する者もいたりして・・・。

時はバブル崩壊前夜で、何でも「イケイケ」だった。
(イケイケって分かるかなぁ・・・?)
24時間戦えますか?というCMコピーが流行り、
金も時間も物も「これでもか!」というまでに
目一杯詰め込むのが人生の充実と多くが思っていた。

その後「失われた20年」を経て
東日本大震災、原発事故、を経験して
経済的な成功や豊かさがイコール幸せとは言えないかも、
と皆が思い返すようになったかに見えたのだが。
このところの日経平均株価の上昇とともに
学んで成長したのではなく、結局また忘れてしまったようだ。

◆◆◆◆◆◆◆◆

進化心理学という学術分野・論考がある。
人の心理メカニズムの多くは、生物学的適応、
つまり生存に有利な特性が残ってきた結果ではないか、
という仮説に立っている。

進化心理学を紹介した
「生きづらさはどこから来るか: 進化心理学で考える」
( ちくまプリマー新書 石川 幹人著)という本によると、
人類の心身は一万年前からほとんど進化しておらず、
一万年前の環境に適応したままである。
一方、文明のほうは、急激に進展。
現代社会を生きるためには、私たちは狩猟採集時代の能力を
なんとか上手く活用させて、しのいでいるというのが実情であろう、と。

よって、様々な負の感情やうまく生きられないといった
一見個人的と思えるような悩みや行動は、実は
「狩猟採集時代の心身」と「文明がもたらした環境」とのズレであって
個人の性格や能力の外に原因がある可能性が高いのではないか。

物質的な多寡と人生の豊かさに、
決定的な相関がないと頭では分かっても
狩猟採集時代の飢餓の記憶が
「モノを集める、貯め込む」ことを止めさせてくれない。

他人は他人、自分は自分と思っても
狩猟採集時代の集団排除=死の記憶が、
「仲間はずれ」の恐怖として、
SNSの利用を止めさせてくれない。

どうやら、学んでいないのではなくて、
人類共通の問題で克服にはまだまだ時間がかかるということか。
やはり、それには更に1万年必要なのだろうか。

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先日テレビで「こんまり」さんという女性を知った。
「こんまり」とは近藤麻理恵さんのニックネームで、
なんと2015年のTIME誌で『最も影響力のある100人』に
日本人として、村上春樹氏とともに選ばれた一人である。

彼女は「片付け」の専門家だという。
自らを「片付けのオタク」と称し、
「片付け」のし過ぎで倒れて入院したという経歴もある。
2010年に出版した『人生がときめく片づけの魔法(サンマーク出版)』は
世界30カ国以上で翻訳され、200万部の売り上げを記録。
「こんまり-konmari-」は片付けることを意味する言葉として
広まり始めているという。

「片付けができない」=「集めたモノが捨てられない」
という行動が、個人の性癖や能力ではなく
人種、国境を越えた「人類共通の悩み」であることを、
彼女は実証したわけで、進化心理学的に考察すると
これは実はとんでもない大発見なのかもしれない。

「片付け」をするとスッキリするのは、
単に綺麗になったから気持ちいいのではなくて
狩猟採集時代の忌まわしい記憶のひとつが消えて
遺伝子レベルで気持ちいいのかもしれない。

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「片付け」が人類を進化させるのか・・・!?。
そう考えるとなんとも愉快な話だ。
皆が同じように抱える負の感情(悩み)も
意外と思う「ある行動」によって、クリアされていくのかもしれない。

ちなみに彼女のメソッドの基本は収納術ではなく、まずは「捨てる」ことだという。
そして、こんまりさんが「片付け」に開眼したのは
過去このコラム(「捨て上手」は「できる人」)で紹介した
『「捨てる!」技術』という本だそう。

私の目の付けどころも捨てたもんじゃないようだ・・・てへ。


菊水電子工業株式会社 ウェブマスター
藤川 貴記 webmaster@kikusui.co.jp

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