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テレビの未来
〜映像表示装置のままなら「テレビ」は終わる〜

2017年9月



テレビ番組を以前より見なくなった。
歳をとったせいなのか、面白い番組が少なくなったのか。
私が知らないだけで、もしかしたら
すばらしい番組があるのかもしれない。

しかし見なくなったと言いながら
放送日になると、つい見てしまう番組はある。

月曜日、テレビ東京「YOUは何しに日本へ?」。
木曜日、TBS「プレバト!!」。
日曜日、TBS「がっちりマンデー」と、テレビ東京「モヤモヤさま〜ず2」。

また番外として、平日朝6:55から放映される、5分のミニ番組
Eテレの「0655(ゼロロクゴーゴー)」。
同番組内での視聴者投稿写真を使った「ねこのうた」はつい見てしまう。
ちなみに夜23:55の「2355(ニーサンゴーゴー)」もある。
こちらは寝ているので見ることはほぼないが。

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ご存知ない方のために、各番組の内容を説明しよう。

「YOU...」は、日本の国際空港で
訪日する外国人搭乗客を突撃インタビュー。
そして「これは」という人に出会ったら、
その旅程を密着取材させてもらうというもの。
編集に必要な撮れ高(素材)が集まるまで
スタッフがひたすら現場で粘り続ける
予定調和なしのガチンコ制作だそうだ。
なので、取材期間中に相手と連絡が取れなくなり
いきなり取材終了してしまったりすることも。

テレビ東京の番組制作は業界屈指の低予算だそうで
有名タレントや豪華セットなどの常套手段に頼れない。
そのため、ひたすら着想や企画で勝負するしかない。
そういう土壌から生まれた同局の名番組には、
この「YOU...」だけでなく、終電を逃した人の家を訪問させてもらう
「家、ついて行ってイイですか?」や
ひたすらいろいろな街の空撮風景を流すだけの
「空から日本を見てみよう」などがある。
「モヤモヤ...」も、さま〜ずという
ビッグネーム?はあるものの、基本は街ブラの全編ロケ。
予算の大半はお二方のギャラだろう。

これらの番組の面白さは人や事物、行事の発見。
「YOU...」もそうであるが、「家、ついて行って...」なども見ると
世の中まだまだ広い、人生いろいろだなぁ、と感じ入るものがある。

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「プレバト!!」は、特番を端緒に
「使える芸能人は誰だ!?プレッシャーバトル!!」として
改題、レギュラー化された番組。
芸能人の目利きや芸術・料理等の才能を査定し
ランキングを競い合うというもの。
査定対象ジャンルがいくつかあるが、
私が好きなのは「俳句」と「水彩画」である。

俳句では、査定員である夏井いつき先生の
ズバズバ容赦のない毒舌キャラもツボなのだが、
見方によっては古臭い「俳句」という文芸に再発見がある。
俳句は、世界観が映像化できるかどうか、
17文字の表現が、そのコトバの外に陰影を作れているかが
秀作のポイントになるというのを、この番組で知った。
これはやってみたくなる。

水彩画は、査定員である野村重存先生のお手本がとにかくすごい。
写実的でありながら写真のような精緻さ(テクニック)ではなく
景色の風情がきちんと立っているのが素晴らしい。
「水彩画」は、現実の景色を
心象風景として再発見させてくれるのだな、と。

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「がっちり...」は、2004年に経済・金融情報番組として始まった
「儲かりマンデー!!」を改題した番組で、
特定の企業にスポットを当てた「儲かりのヒミツ」や、
製品・事業・業界(特にニッチ市場)にスポットを当てる
「儲かる○○(ビジネス)」などを取り上げている。
この番組も純粋に発見が面白い。

「どうやって食っているのか?」と思う
謎?の業界というのは誰にでもあるわけで
それをわずか30分の番組で、手軽に知ることができる
非常にありがたい番組である。

隣の業種・業界のビジネスを見て感心するだけで終わらせず
そこでの発想や着眼点にヒントを見出せれば
翌日(月曜)の仕事に活かせるという番組コンセプトは
まさに「がっちりマンデー」だ。

ところが最近わが家では、
これらに「ある勢力」が加わりはじめている。

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それはラジオ。正確にはネットラジオの「radiko」である。
radikoは、2010年に開始された
ラジオのストリーミング配信サービス。
基本はリアルタイムだが、
2016年からオンデマンド(タイムフリー聴取)も始まった。
スポーツの生中継など、一部配信されない番組もあるが
ほとんどの番組の聴取がネット経由でできる。

最近、帰宅するとリビングのテレビの電源はオンなのだが
ラジオ音声が流れていることが多い。
(その時の画面はスクリーンセイバー風になっている)
家人は以前から、家事中にスマホでラジオを聴いていたのだが
ある日、ブルーレイレコーダーでradikoを聴けることを偶然見つけ
(このレコーダーを買ったのはだいぶ前・・・)
それ以来、テレビでラジオを聴く様になったらしい。
家事の「ながら聴き」にはラジオの方が相性がいい。

ラジオというと、小さなスピーカーや
イヤホンで聴く場合が多いと思うが、
テレビのオーディオシステムで聴くと、
音楽などは低音が効いて意外といい音になる。
これは、ちょっとした発見である。

ラジオ放送はテレビ放送よりも古いレガシーメディア。
3.11の震災時に再評価されたことがあったものの
全体的な聴取率は年々下がっているというが、
個人的には、侮りがたいメディアだと思っている。

音響には、照明と同じように
場の雰囲気を一瞬で変える作用がある。
ラジオ音声が流れているだけで
いつもの見慣れたリビングの雰囲気が
変わったように感じるのは不思議である。

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そこでふと、テレビは受像機・表示装置ではなく
空間演出装置とでも呼ぶ様な機器に
なるべきではないかという妄想が湧いてきた。
その理想像は「ホロデッキ」だろう。
映画「スタートレック」シリーズに出てくる
現実をシミュレートした世界を生成する架空の装置である。

すでにゲームを中心にVRやARの実用化が進んでいるが
まだ専用ゴーグルなどの表示器に依存している。
(余談だが、個人的に「VRゴーグル」ってやつは
どうデザインしても傍目にはカッコ悪い、オシャレではないと思うのだが・・・)
これが「ホロデッキ」のように裸眼で違和感なく利用できる(触ることもできる!)
ようになるまでには、まだまだ時間がかかりそうだ。

まあ、そこへ一足飛びに行けなくとも
いま室内にある家電(テレビ、音響、照明、空調機、デフューザーなど)を
「演出」として協調的にコントロールできるだけでも
おもしろいのではないかと思う。

家電の総合管理のコンセプトというと
HEMS(Home Energy Management System)があるが
それは、エネルギー利用効率改善の側面が強い。
「生活演出」という打ち出しは、ほぼない。

HEMSを導入したが、モニターをチェックして
節電に励むのは最初のうちだけで、
やがて宝の持ち腐れになってしまうケースが少なくないという。
ネット経由で、照明やエアコンをオンオフできるのは便利だが
「で、それがどうしたの?」感は否めない。
HEMSは有用なのだが、正直それだけだと「つまらない」のだ。

◆◆◆◆◆◆◆◆

テレビの話が、番組からなぜかHEMSへ飛んでしまった。
話を戻す。
テレビがつまらなくなったのは、番組のせいだけではなく
その概念が表示装置の域を出ていないことにもある。
なので「8K」になろうが「16K」になろうが、
額縁に収まった映像の表示装置だと思っているうちは
ブレークスルーはない。

もしテレビが再び「家電の王様」として君臨したいなら
それは「空間総合演出装置」になるしかない。
その形状は、もはやロールペーパーであり、自由に切り貼りできる。
もしくは塗料。塗った場所がデバイスになる。
それが表示、照明、スピーカーのいずれとしても機能する。
通信、給電は当然ワイヤレスで、
Amazon EchoのようなAIコントローラが全てを管理する。

すでに、コンセプトとして
ボディー全面がディスプレイという自動車や
飛行機内の壁面全体をディスプレイ化するというのはあったが
建物の内装全体をアウトプットデバイスで覆う例を
まだ私は知らない。

ただ、これが実現できた時それは
もはや「テレビ」とは呼ばれていないだろうが・・・

菊水電子工業株式会社 ウェブマスター
藤川 貴記 webmaster@kikusui.co.jp

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