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見知らぬ明日
〜あの夜の事件に思うこと〜

2001年10月



「見知らぬ明日」という古いSF小説がある。最近あまり名前をお見かけすることがなく残念なのだが、かの「日本沈没」や「復活の日」などで一世を風靡した小松左京氏の1968年の作品である。

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簡単に内容を紹介すると、時代は米ソ冷戦下。中国奥地に突如あらわれ侵略を開始した異星人との戦争。そしてそれによって急激に非日常的な状況へ巻き込まれていく日本人新聞記者とその家族を描いた作品である。ここで描かれる異星人には通常兵器はおろか核もほとんど効かない。そして説得も話し合いも理屈も何もない。 不気味で逃げようのない未知の脅威と絶望的な無力感。この小説の怖さはこの点にある。結末も映画「インディペンデイス・デイ」のような劇的(?)な終わり方ではなく、救いがあるような、ないような終わり方で、読後感はけしてよろしくない。明日にでも本当に起きるんじゃないかという妙な不安感を残す。

あの夜、凄惨なあの事件を生中継で見ながら、前にもこんないやな感覚ってあったよな、と記憶をたどっていたらこの小説を思い出した。湾岸戦争の時はニンテンドー・ウォーと言われるようにどこか「絵空事」のような錯覚があった。しかし今回の事件で高層ビルに大穴があき、炎上・崩落する様に生まれてこの方ない不安を感じた。この先どうなってしまうのだろう?…言いようのない不安感と無力感。気が付いたら時計は午前2時をまわっていて、あわててふとんに入ったが、横になっても興奮していてなかなか寝付けず、翌日は一日仕事にならなかった

こういった時、一般人はどうすべきか? コピーライターの糸井重里氏がご自分の主催するメルマガ(ほぼ日刊イトイ新聞デリバリ版)で答のヒントを示していたので紹介したい。それは、「いま自分がやるべき事、やりたい事をちゃんとやろう」ということ。何を暢気なと一瞬思うが、必要以上に不安がったり、浮き足立ってもどうにもならないのも事実で、だったら、見知らぬ明日を不安に思って今日を生きるより、今向き合うべき事をきちんとやる。それは仕事かもしれない、若い人は恋やスポーツの試合だったりするだろう。そしてもし不幸にして当事者になってしまったら、とにかく死なないように頑張るしかない。

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ひどく単純思考のようだが、しかし真実の一面を突いている気がする。今を懸命に生きることが、不安に打ち勝つパワーを生むのかもしれない。そう思って私は今日を頑張るのだ。

菊水電子工業株式会社 ウェブマスター
藤川 貴記 webmaster@kikusui.co.jp

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