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創造力の女神に逢う方法
〜中心化した心を揺さぶろう〜

2003年1月



「創造力戦」で絶対に負けない本(角川書店刊、内藤 誼人著)──という本がある。帯には、「精神論はいりません。必要なのは具体的なスキルのみ」と書いてある。「創造力戦」という表現が目新しかったことと、「精神論はいりません」というキャッチコピーに惹かれて読んでみた。内容はいわゆるHOW TOモノであり、アイディアの生み出し方を高めるための具体的なコツやテクニックが紹介されている。

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よくある「発想を豊かにする」系の本なのだが、他書と少し毛色が違うのは、発想力向上を意識改革や心構え論ではなく、心理学(科学)的見地から説明している点である。発想力とは特殊な才能ではなく、自動車の運転のように訓練次第で獲得できるスキルなのだという。目次を拾い上げてみるとこんな具合である。「声を出して笑えばいいアイディアが出る」、「自分の不快感情に敏感になろう」、「メモをとりながら考えると思考が具体化される」、「メンタルウォーキングで発想力をアップさせる」、「競争させるとアイディアは出なくなる」、「作業を途中で投げ出してみる」等々。

なんだ、そんなことなら知ってるよ、という声もあるだろう。しかし、実際はどうだろう。義務感やプレッシャーなど厳しい条件を自分に与えて(またはそういう状況に追い込まれて)、頭の中から発想を絞り出すかのような方法をとっていないだろうか。もちろんそうした厳しい状況下でアイディアは出るかもしれないが、それはリラックスした時に出るアイディアには残念ながら劣るのだ、と筆者はデータを示しながら説明する。

自分を追いつめるよりもリラックスした時のほうがいいアイディアが出る──。言われてみれば、そうだよなと思えることが、実際はほとんどおこなわれない。きっちりとネクタイを締め、生真面目にイスに腰掛け、不満や苦痛に耐えながら「沈思黙考…考えてます」というスタイル。サラリーマンの姿としては正しいのかもしれないが、アイディアの創出という面では錯覚だと筆者は言い切る。そしてこう思うそうだ。「この人は自分で発想力の源を塞いでしまってるようだ。かわいそうに…」。

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信念、思想、意見などは、一度安定した中心点を得ると別の観点からの見方を拒否する傾向があるという。これを心理学者ウェルトハイマーは「中心化」と呼んだ。中心化した心は、認知は極めて安定するが、新しいモノの見方や考え方はほとんど期待できないという。であるならば、意図的に自分の価値観を揺さぶり、中心を動かしてみるのがいい。同書はそのための具体的な方法を教えてくれる。特に「散歩」と「途中で投げ出してみる」は、私の経験からも有効性を確認しているので、煮詰まった時試してみる価値はあると思う。ただし業務放棄と誤解されないよう、一言周囲に断る必要はあるが…。

菊水電子工業株式会社 ウェブマスター
藤川 貴記 webmaster@kikusui.co.jp

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