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最終話インターフェース(下)

最終話コラム

最終話のテーマは、第 9 話に引き続き「インターフェース」です。前話で昨今の直流電源には、新旧の規格に対応した複数のインターフェースコネクタが装備されていると説明しましたが、やはり近年利用例を急速に伸ばしているのは LAN(イーサネット)でしょう。

少し前まで、自動計測システムを構築する際、通信の速度や信頼性に不安がある等を理由に、LAN の採用には消極的であったのが実情です。しかし近年は、LAN 通信速度のギガビット化に加えて、今後の人員不足や AI 化を見据えての、設備の省人化(多数台の集中遠隔制御・監視)というニーズが後押しとなって、普及に拍車がかかっています。しかし一方で、電子計測器や直流電源で(PC で使われている)LAN をそのまま採用した場合、通信に冗長な部分(待ち時間が長い=遅い)があったり、PCとの接続にはやはり相応の知識やスキルが必要です。つまり単純に旧方式(GPIB など)の代替にはならない、プラグアンドプレイではないといった課題がありました。そこで策定されたのが「LXI(エルエックスアイ)」という LAN をベースにした計測器の標準規格です。LXI は、2005 年に Keysight(旧 Agilent Technologies)社やTektronix 社も参画する計測器ベンダのグループ(LXI コンソーシアム)によって発表されました。菊水電子工業もそのメンバーとして参画しています。

LXI の特長は、物理的には汎用の LAN 技術を使いながら、そこに計測システムに求められる技術要件(機器間の精密な同期制御など)を付加し、さらに計測器に Web サーバ機能を内蔵することで、簡単に監視・制御できるようにしていることです。つまり LXI 規格に対応している製品であれば、PC やスマホ・タブレットの Web ブラウザが、計測器・直流電源のモニタやリモコンになるのです。今でこそ組込み Web サーバを持つ IT 機器(プリンタや NAS、ルータなど)は珍しくありませんが、10 年以上前この規格を策定したことを考えると、そこに先見性を感じざるを得ません(策定当時は「計測器に Web サーバ?」といった懐疑派が多数でした)。

目の前の直流電源を、わざわざスマホから操作する必要はないかもしれませんが(実はブラウザ画面からの操作だと、パネルのつまみ操作より細かい分解能で電圧設定できたりします・・・)、実験室の直流電源の状態を別室で監視したい時などはかなり便利です。ご所有の製品に「LXI」マークが付いていたら、ぜひ一度試してみてください。直流電源の出力表示や設定が、手元のスマホで簡単に行えるのを目の当たりにすると、ちょっとした感動があると思いますよ。

おわりに

このマンガはこれで終わりになります。実験用直流電源について本作で説明した内容はもちろん「初歩の初歩(入門)」であって、この先にさらに深い森があります(笑)。可能ならその森にさらに分入りたいところですが、その領域に入ると、残念ながらマンガという手法では限界があり、専門書の助け(回路図と数式)を借りるのが妥当ではないかと考えました。ということで、初級編や中級編はありません。期待していた皆さまごめんなさい・・・。

最後に、本作の制作において、シナリオ構成や技術考証、素材作成に惜しみない協力をしてくれた菊水電子工業のエンジニアである矢島氏、高井氏、また素晴らしい作画を担当してくれた ad-manga.com(トレンド・プロ)さん、毎回 Web ページの更新してくれた井岡さん、お疲れさまでした。また作中のロボット考案とキャラクタのモデルにもなっていただいた TRYBOTS の近藤那央さん、齊藤七海さん、作品舞台としてご協力いただいた横浜市都筑区の Cafe OREO 様、DMM.make AKIBA 様、ありがとうございました。皆さんのご協力がなかったら、このマンガは世に出ることはなかったでしょう。そして更新がスローペースな本作を、気長にまた暖かい目でお付き合いくださった読者の皆さま。この場を借りましてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

ハイカワ企画担当:営業推進部 藤川貴記

最終話インターフェース(下)

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