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ビットエラーレートメータ KBM6010について

1.通信、放送の品質

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ちょっと昔のオーディオマニアに「音質」といったら「周波数特性」、「歪率」、「S/N比」という返事が返ってくると思います。情報を何らかの機器や媒体を通じて送受する際、信号をどれだけ忠実に再現できるか、また自分が欲しい信号と雑音との(正確には信号+雑音と雑音の比率)比率などを数値化して表現したもので、要するにどれだけ正確に、きれいに、情報を伝えることができたかを示すパラメータです。

〈図1〉歪率、S/N比測定ブロックダイアグラム
〈図1〉歪率、S/N比測定ブロックダイアグラム

これはオーディオの世界だけでなく、アナログ信号を伝送するときの品質をあらわすパラメータとして幅広く用いられています。例えばFMチューナーの場合〈図1〉のような方法で測定しています。

最近巷で「デジタルだから音が良い」、「デジタルだから劣化しない」というコピーをよく見聞きします。本当にそうでしょうか。アナログ時代から携帯電話を使っている人の多くはデジタルになってからむしろ音質が悪くなった、というよりはっきり聞こえるのだが何を言っているのが判りづらくなったと感じているのではないかと思います。

ご存知のようにデジタルの通信や放送などでは音声や音楽、映像などのアナログ情報を一旦「1」か「0」のデジタル信号に変換し、これを何らかの媒体、つまりケーブルや電波、光、磁気メディアなどを通じて情報を伝達します。この「1」か「0」の最小情報単位の事をビットといいます。

リソースの有効利用、利便性向上、あるいは技術的限界などの理由から情報を伝達する媒体には周波数帯域や大きさなど大抵何らかの枷をはめられています。この限られた条件下で出きるだけたくさんの情報を詰め込み、各媒体に送り出しやすい形に整えるため、多くの場合デジタル信号は何らかの変調をかけられて送り出されます。ところがこの信号を変復調するとき、あるいは情報が媒体を伝達する過程で歪が生じる事があります。デジタル信号が歪むとどういうことになるのでしょう。

〈図2〉デジタル信号の歪とエラー
〈図2〉デジタル信号の歪とエラー

〈図2〉はこの例としてNRZビットストリーム信号に徐々に周波数帯域制限をかけていき、符号間干渉によってエラーを起こす様子をあらわしています。この図に示す通り、符号間干渉による歪がある値を超えると各ビットにエラーが生じ始めます。このようにビットにエラーが生じる事をビットエラーといいます。

デジタル信号でビットエラーが生じるとそのビットの重み付けや意味とは無関係にまったく違う情報として伝達されるため、音声信号などの場合このまま再生すると大きな歪や雑音となって現れてきます。このためデジタルで情報伝達を行なう多くの場合は信号に冗長性を持たせてある程度までエラーを補正できる機構を組み込んでいます。その他にも大きく連続して情報が欠落してもエラー補正ができるように送る順番を入れ替えたり、どうしても補正しきれなくなった場合は前後の情報から判断してもっともらしい値に置き換えたりして元の信号を再生できるような工夫が凝らされています。

本来なら音質の善し悪しを論じるとき、量子化のビット数やサンプリングレートを抜きにして考えることはできませんが、ビットエラーと音質の関係についていえば「デジタルだから音が良い」、「デジタルだから劣化しない」というのは少し不正確で、「デジタルだからエラーが少なければ音が良い」、「デジタルだからエラー補正できるうちは劣化しない」という方が妥当でしょう。従ってたとえデジタル携帯電話であってもトラフィックが増して電波が輻輳していたり、フェージングが多い環境ではエラーが増加するため音質の悪化は避けられない訳です。

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