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※お読みいただく前に:以下の問答集は主に日本国内の事情に照らし合わせて作成されたものです。したがいまして日本以外の国においては、文中の一部をその国で定められた関連法令および規格にあわせて読み替えていただく頂く必要があります。あらかじめご了承お願いいたします。

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Q1 耐電圧(耐圧)試験って、何ですか?
耐電圧試験とは電気製品や部品が取り扱う電圧に対して十分な絶縁耐力があるかどうか(絶縁破壊をしないかどうか)を確認するための試験です。
全ての電気製品は安全でなければなりません。ユーザーの生命を脅かすことや、財産に対して損傷を与えるようなことがあってはなりません。特に電気の知識のない人たちに扱われる家庭電気製品等の安全はたいへん重要で、感電、傷害、火災、爆発等の事故からユーザーを保護しなければなりません。

電気製品の安全に関する項目の中でも特に感電事故、火災事故の防止が重要です。電気製品は極めて多くの部品で構成されていますが、基本的には電気を導く部品(導体)と電気を妨げる部品(絶縁体)で構成されています。もし、この電気を妨げる必要のある絶縁物(体)に絶縁不良があると、人間がその電気製品に触れて感電する可能性があり、また絶縁不良部分が発熱すれば火災を引き起こす可能性もあります。
これらの事故を防止するための試験として、商用電源ラインに接続されているすべての一次回路と電気製品の人間の触れる可能性のある導電性部分(筐体、キャビネット等)との間の耐電圧試験、絶縁抵抗試験、漏洩電流試験、および三線式AC入力の場合のアース導通試験があります。

前述の主旨に基づき各国の安全規格は電気製品の製造者に対してこれらの試験の中で耐電圧試験を必ず含め、かつ他の1種類から3種類の試験と組み合わせて試験することを義務づけています。また、製品が安全に設計されているかどうかを確認する型式試験はもとより、安全に製造されているかを確認する最終工程での全数試験として義務づけている規格が多くあります。

このように耐電圧試験は電気製品の安全性を確保するための基本となる試験としての意味があります。

その実態は、耐電圧試験は絶縁耐力試験とも呼ばれるように、その目的は通常取り扱う電圧に対して充分な絶縁耐力があるかどうかを確認することにあります。つまり、絶縁破壊があるもの、または絶縁破壊を起こす可能性のある不良品を見つけることです。
その方法は、通常取り扱う電圧の10倍から20倍の交流電圧または直流電圧で、規定された電圧を規定された時間印加したとき絶縁破壊(オームの法則に従わない急激な電流の増加)を起こさなければ、その絶縁物は十分な絶縁耐力を持つと判断されます。

耐電圧試験とは電気製品や部品が取り扱う電圧に対して十分な絶縁耐力があるかどうか(絶縁破壊をしないかどうか)を確認するための試験です。その結果、十分な絶縁耐力があれば製品は感電事故並びに火災事故を防止する上で必要条件を備えていることになります。
Q2 絶縁抵抗試験と、どう違うの?
製品の感電事故並びに火災事故を防止するための必要条件であること、また絶縁物の機能または性能を確認するための試験であることでは耐電圧試験と同じです。
但し、耐電圧試験は絶縁破壊を起こすかどうかにより絶縁不良を検出しますが絶縁抵抗試験は抵抗値を測定することにより絶縁不良を検出します。

その方法は、多くの場合、吸湿処理をした後(しない場合もある)に通常取り扱う電圧の5倍から10倍の規定された直流電圧を印加し、流れる電流値から抵抗値を測定します。その結果、十分絶縁抵抗値が大きければ製品は感電事故並びに火災事故を防止する上で必要条件を備えていることになります。
多くの安全規格では型式試験として絶縁抵抗試験を位置づけ、生産ラインでの全数試験は省かれています。
Q3 なぜ、耐電圧試験を行わなければいけないのですか?
全ての電気製品は安全でなければなりません。
ユーザーの生命を脅かすことや、財産に対して損傷を与えるようなことがあってはなりません。そのために国内外を問わず安全規格があります。
耐電圧試験とは絶縁破壊が起こらないことを確かめる試験、言い替えれば安全を確かめるために必要な試験です。
従って、少なくとも電気製品である以上、安全規格に適合させる、させないに関わらず製造者の義務として必ず耐電圧試験を行わなければなりません。
Q4 耐電圧試験には、耐電圧試験器を使用しなければいけないのですか?
安全規格の中には耐電圧試験の条件(方法)が必ず規定されています。(試験機に対する要求事項がある規格もある)従って、それらの条件を満たす試験を行うことができれば耐電圧試験器である必要はありません。
しかし、耐電圧試験器は操作される方を安全に保護するため安全性を考慮した設計が行われています。従って、出来る限り耐電圧試験器をご使用いただいた方がよいでしょう。
電気用品安全法施行規則別表第四検査設備の絶縁耐力試験設備には、
  1. 変圧器、電圧調整器及び電圧計(精度が1.5級以上のもの)又はこれら を内蔵する絶縁 耐力試験機を備えていること。
  2. 2次電圧がそれぞれの絶縁耐力試験電圧に容易かつ円滑に調整できること。
とあり、耐電圧試験器を使用しなければならない訳ではありません。
Q5 直流出力の付いた耐電圧試験器がありますが、交流と直流はどう使い分けるのですか?
耐電圧試験は基本的に交流で行います。
しかし、交流で耐電圧試験を行うとノイズフィルター等の容量成分に大きな電流が流れてしまい都合が悪い場合もあります。安全規格によっては交流での耐電圧試験の替わりに直流で行って良い場合もあります。これらの規格では多くの場合、直流試験電圧は規定の交流試験電圧の尖頭値に等しい値となっています。
但し、一部の安全規格の中には直流回路には直流での試験を義務づけたものもあります。
Q6 絶縁抵抗試験を直流で行うのはなぜですか?
絶縁抵抗試験は被試験物の抵抗値を測定することにより絶縁不良を検出します。
従って、抵抗成分のみを測定する上で、直流の方が都合が良いためです。
Q7 私の作業場は、電源(商用電源)状態があまり良くありません。そのため耐電圧試験器の出力波形が歪んでしまいます。波形歪に関して何か規定はありますか?
ほとんどの安全規格では試験電圧波形に対して"正弦波形"と規定されています。一般に歪率5%程度までの正弦波を正弦波形と呼ぶそうです。
また、一部の安全規格(UL1492「音響・映像機器および付属品」)では波形に対して次のような規定があります。
"正弦波形であり、40〜70ヘルツの範囲の周波数であり、しかも、波形のピーク値が実効値の1.3倍以上で1.5倍以下のもの"
 
Q8 三相の機器の耐電圧試験は三相で行わなくて良いのですか?
三相で行う必要はありません。
耐電圧試験は、人間が触れる可能性のある導電性部分と活電部の間が十分に絶縁されているかどうかを確認する試験です。
従って、機器の構造は関係なく、一次電源ラインと触れる可能性のある導電性部分間で試験を行います。
Q9 私の事業所では1000ボルト1分間の耐電圧試験を、生産性を上げるため1200ボルト1秒間にして実施しています。このような方法は正しいのでしょうか?
一部の規格では生産ラインの耐電圧試験において認められている場合があり、考え方としては間違いではありません。
一般的に耐電圧試験は、規定の電圧を規定の時間印加して絶縁破壊が起きないことを確認しますが、これは絶縁物の劣化は電圧と時間の関数として取り扱えるためです。従って、電圧を上げて時間を短縮した試験として安全規格でも認められている場合があります。
たとえば、生産ラインの耐電圧試験においては、生産性を上げるため1分間の試験で規定される電圧値の6/5の電圧値を使用すれば1秒間の試験に短縮できるように規定されているものも多くあります。
ただし、それぞれの規格によって違う場合がありますので確認する必要があります。
Q10 耐電圧試験と絶縁抵抗試験の試験順序はあるのですか?
安全規格の中には耐電圧試験と絶縁抵抗試験の試験順序を規定している場合もあります。規定されている場合は絶縁抵抗試験を先に行う場合が多いようです。
例えば洗濯機、冷蔵庫、テレビ等の家庭電気製品に対して電気用品安全法に基づく電気用品の技術上の基準、別表第八附表第三絶縁性能試験では絶縁抵抗試験の後に絶縁耐力試験を行うことが定められています。
また、規格の中には絶縁抵抗試験を要求していないものもあります。
Q11 漏れ(リーク)電流って何ですか?
一般的に絶縁物(体)に電圧を印加したときに流れる電流を漏れ電流と呼んでいます。従って、耐電圧試験、絶縁抵抗試験、及び漏洩電流試験のときに流れる電流はみな、漏れ電流と呼ばれています。
ただし、漏洩電流測定方法の国際規格IEC60990:1999-08では“漏洩電流"、“漏れ電流"という表現は使用せず“接触電流"、“保護導体電流"という用語を使用しています。従って、この規格の正式な名称も「接触電流及び保護導体電流の測定方法」となっています。

いずれの試験でも、この絶縁物に電流が流れると、絶縁物としては良い方向ではありません。当然、多くの電流が流れれば感電または火災の危険があります。
Q12 私の使っている耐電圧試験器には"**年**月校正済み"というシールが貼ってありますが、校正って何のことですか?
校正は較正とも書きます。読んで字の如く、正しい値と比較することです。
計器(計測器)は正しい値を示してこそ計器(計測器)です。身近な所では重さを計る「はかり」があります。計器に値付けする行為を校正と呼んでいます。電気計器は誤差を持っています。値が仕様に書かれている誤差の中に入っていない場合、調整します。一般的にはこの調整をも含んで校正と呼んでいる所もある様です。

当社に校正を依頼された場合、機器を仕様内に調整をし、その校正データ(試験表)を添付し、校正日を捺印した「校正シール」を機器に貼り付けてお客様に返却します。
校正周期については特に規定がありません。通常、当社に校正依頼をしてくるお客様は半年または1年のサイクルで校正している様です。
Q13 私の会社では一度も校正を行ったことがありません。先日、立ち会い検査があって指摘されてしまいました。とりあえず校正する方法はないでしょうか?
当社の耐電圧試験器の出力電圧校正用高圧電圧計または電流校正器をお買い求めいただければ正しい値と比較することができます。
但し、試験器は高電圧を発生しますので校正はたいへん危険を伴います。また、校正を行うには機器より精度の高い校正器が必要です。
従って、お買い求めになった代理店または当社に校正を依頼してください。
Q14 ちゃんとした校正を行ってもらうにはどうしたら良いのでしょうか?
当社製品は当社で校正サービスを承っております。当社または購入元にご依頼ください。
当社では、作業手順に従い校正が行われ、使用される測定器は、日本電気計器検定所(JEMIC)、日本品質保証機構(JQA)または、メーカなどの校正業者を経由して、日本の国家標準(独立行政法人産業技術総合研究所または独立行政法人情報通信研究機構)、あるいは、NPL(National Physical Laboratory)、NIST(National Institute of Standards and Technology)などの国際度量衡委員会に加盟している諸外国の国際標準にトレースされています。
Q15 自分で校正を行うことはできるのでしょうか。何か資格が必要ですか。またどのような設備が必要ですか?
校正には設備、データ記入書式、技術者が必要です。
設備は校正を行う機器より精度の高い校正器が必要で、その値はトレーサビリティの確保のため国家標準につながってなければなりません。書式はどの値をどの範囲で管理するかを記述していなければなりません。技術者は校正方法を理解し、使用機器を熟知していなければなりません。
従って、校正をするための資格は特に必要ありませんがたいへん危険も伴いますので当社にご依頼ください。
Q16 使う前の始業点検は必要ですか。また何をすればよいのですか?
始業点検は必要です。
少なくとも、試験器が大地に接地されていること、高圧テストリードの被覆に割れ、ヒビ、破れ等がないことなど作業者の安全にかかわることは必ず点検してください。
また、高電圧側のテストリードの先端と低電圧側のテストリードの先端をショートして試験を実行したとき不合格判定されることを確認してください。この点検で試験器の粗動作及びテストリードの断線の確認ができます。

また、合格を生じるモデルと不合格を生じるモデルを作成し、始業点検時に合格/不合格判定が正しいかを確認すればより信頼できる試験ができるでしょう。合格を生じるモデルには不合格判定させる電流値よりも若干小さな電流に相当する抵抗を内蔵させ、また、不合格を生じるモデルには不合格判定させる電流値よりも若干大きな電流に相当する抵抗を内蔵させます。
または、当社の耐電圧試験器の出力電圧校正用の高圧電圧計または電流校正器をお買い求め頂き、始業点検時に確認すれば申し分ないでしょう。
Q17 毎日の始業点検で、テストリードの断線をチェックするよう指示されています。テストリードの先端をショート(短絡)する以外に何か良い方法はないでしょうか?
試験器の電源を切り、それぞれのテストリードをテスター等で導通確認すれば安全に確認できます。
また、電流検出に下限判定機能が搭載された試験器をお使いの場合で、被試験物にその試験器の下限判定感度を超える電流が流れ、テストリードが断線したときに下限判定感度以下になるような場合は、この機能を利用することにより接触不良を含めて断線の検出が可能となります。
Q18 毎日の始業点検で、テスト判定GOOD/NGが正常に判定されているかどうか確認するように作業指示が変更になりました。誰にでもできる簡単な方法はないでしょうか?
あらかじめ、合格を生じるモデルと不合格を生じるモデルを用意しておき、それを使って始業点検時に確認する方法が便利でしょう。
合格を生じるモデルには不合格判定させる電流値よりも若干小さな電流に相当する抵抗を内蔵させ、不合格を生じるモデルには不合格判定させる電流値よりも若干大きな電流に相当する抵抗を内蔵させます。または、当社の耐電圧試験器の電流校正器をお買い求め頂き、始業点検時に確認する方法があります。
Q19 耐電圧試験は高圧を扱い危険なため、いつも恐る恐る作業をしています。不安を解消する理想的な作業環境を教えて下さい。
定期的に校正された試験器を仕様範囲内で正しく使用し、取扱説明書の使用上の注意を熟読し、何が危険であるかを熟知し、事故が起きないように配慮した後に操作することが必要です。なかでも、
  1. 感電防止の電気作業用のゴム手袋を装着する。
  2. 試験器を大地に接地する。
  3. 高圧出力時は絶対にテストリードには触れない。
の3点は極めて重要ですので必ず実施しなければなりません。
また、インターロック機能の付いた試験器をお使いの場合は、極力インターロック機能をお使い下さい。インターロック機能が働くとプロテクション状態となり、出力は遮断され試験ができない状態となります。また、この機能が働いている間はパネルのSTOPスイッチ、または、リモートからのSTOP信号でも解除できません。この機能を使用した例として
  1. 感電防止の治具として被試験物を覆うカバーなどを設け、カバーの開閉とインターロック機能を連動させる。
  2. 試験を行う場所を柵などで囲み、柵の開閉とインターロックを連動させる。
などが挙げられます。
安全対策を充分に施し、安全の維持、管理の徹底がされている作業環境が理想的といえるでしょう。
Q20 耐電圧試験器を操作するには、何か資格が必要ですか?
耐電圧試験器を取り扱うのに資格は必要ありません。
ただし、試験器を取り扱う場合には取扱説明書の使用上の注意を熟読し、何が危険であるかを熟知し、事故が起きないように配慮をした後に操作することが必要です。
Q21 女子の作業員に耐電圧試験器を操作させるのに何か問題はありますか?
男女に関わらず操作される方の年齢(日本では満18歳未満)によっては、法律上制限される場合がありますので注意が必要です。
また、制限のない方に試験器を操作させる場合でも取扱説明書の使用上の注意を熟読させ、何が危険であるかを熟知させ、事故が起きないように配慮をした後に操作させることが必要です。
当社の耐電圧試験器は操作される方を安全に保護するため、安全性を考慮した設計、試験が行われ出荷されています。
また、安全にご使用いただくためには取扱説明書の使用上の各注意事項をお守りいただくことが必要となります。
しかしながら、試験器をご使用いただく電圧、並びに操作される方の年齢によっては、労働基準法 第62条(危険有害業務の就業制限)の年少者労働基準規則第8条により、満18歳に満たない者を就かせてはならない業務として、次の項目(内容は同文)が揚げられていますので注意が必要です。
(年少者労働基準規則第8条8号)
直流にあっては750ボルトを、交流にあっては300ボルトを超える電圧の充電電路又はその支持物の点検、修理又は操作の業務
Q22 ゼロ投入スイッチって何ですか?
交流で耐電圧試験を行う際、試験電圧の出力スイッチを電圧が0V付近で閉じるように制御されたスイッチのことです。
もし、このような制御無しでスイッチを閉じると、出力電圧にいわゆる暴れが生じ、規定電圧よりも高い電圧が発生してしまい良品を不良品と判定してしまったり、被試験物を破損してしまう可能性があり信頼性の高い耐電圧試験ができなくなります。
Q23 付属のテストリード以外を使用するとき、どのようなことに注意すれば良いですか?
当社のテストリード以外のものをご使用にならないでください。
付属のテストリードは、お買い求め頂いた試験器の最大出力電圧に対して充分な耐電圧を持つ材料を使用し、構造も安全性を考慮して設計されています。また、試験の信頼性も確保できるような考慮もなされています。
もし、付属のテストリードに不都合がある場合は当社までご相談ください。

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